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「死にたがる彼女」との旅路の果て 優しき「彼氏」は「殺人犯」になった (産経新聞)


【衝撃事件の核心】 恋人が望んだからといって本当に死ぬまで首を絞め続けることができるのか。神戸市東灘区の無職、川本麻実さん(27



▽つづきはこちら

めんどくせえ関係だなあ。

いくら死にたがると言ったって。

死にたいなら死ねばいいんだ、それは個人の権利の範疇。でも自分の手で完結させるのが最低ラインで、誰かに手を汚させるとなると、ちょっと違うだろう。

人間は何も飲み食いしなければいずれ死ぬのだ。本当に死にたいなら、それだけでよい。

実際に手にかけるほうもかけるほうだ。大切に思っていればこそ、病院に押し込んででも止めるものだろうし、もしも疲れて心境に何らかの変化が生じたなら、そこで離れるべきだった。

自分の手に負えなくなったことを、相手の意思の尊重がどうのと美化することでない。

まあ本当に嘱託殺人であるならば、という話だが。


以下、全文。


産経新聞 2月11日(土)11時54分配信

【衝撃事件の核心】

 恋人が望んだからといって本当に死ぬまで首を絞め続けることができるのか。神戸市東灘区の無職、川本麻実さん(27)が自宅で首を絞められて殺害される事件が起きた。交際相手の無職、仁野亮被告(27)が殺人容疑で逮捕されたが、川本さん本人に頼まれて殺害したとして嘱託殺人罪で起訴された。交際スタートからわずか半年余りで起きた悲劇。ただ、川本さんに自殺願望があったという話は仁野被告以外からは聞こえてこない。2人の間に実際は何があったのか、真相はなお闇に閉ざされたままだ。(木下慧人)

 ■涙の告白

 「えらいことをしてしまった。今からそっちに行く」

 1月5日午後5時半ごろ、仁野被告が、昨年末まで川本さんとともに務めていた神戸市兵庫区の派遣会社の元同僚に、震える声で電話してきた。

 「(川本さんを)殺してしまった」

 約30分後、派遣会社に姿を見せた仁野被告は元同僚に涙ながらに告白した。

 時を同じくして、千葉県警浦安署の捜査員2人が、東京ディズニーランド近くのホテル客室で1月2日に起きた放火未遂事件の捜査で派遣会社を訪れていた。客室には仁野被告と川本さんが偽名で宿泊していた。浦安署はホテルの防犯カメラの映像などから、姿を消した1人が川本さんであることを割り出し、直前の勤務先の派遣会社にたどり着いたのだ。

 仁野被告の「告白」に驚いた元同僚は、社内に居合わせた捜査員に相談した。捜査員は、涙に暮れる仁野被告から何とか事情を聴き出し、1月5日午後7時15分ごろ、兵庫県警東灘署に川本さんの安否確認を要請。東灘署員が川本さんの自宅マンションに着いたときには、すでに救急車と救急隊員の姿があった。

 実は、川本さんの遺体は、母親(53)が午後7時ごろに見つけ、すでに119番していた。帰宅した母親が川本さんの部屋を何気なくのぞくと、川本さんはベッドであお向けに倒れていた。触ってみると冷たくなっていたという。

 ■「気づいたら煙」

 捜査関係者によると、川本さんと仁野被告が交際を始めたのは、同じ派遣会社に勤務していた昨年5月ごろ。川本さんは交際3カ月後くらいから、仁野被告に会うたび、「死にたい」と言い続けたという。仁野被告は優しく川本さんを慰めていたが、死の願望を抑えることはできなかったとみられる。

 昨年末、2人同時に派遣会社を辞めると、12月30日~1月3日の予定でディズニーランドに旅行に出かけた。仁野被告は川本さんを気分転換させたかったのかもしれない。ところが旅行中の1月2日未明、2人の宿泊していたホテル客室で放火未遂事件があった。

 火災報知機のベルが鳴ってホテル従業員が駆けつけると、客室の木製の台座が焦げていた。壁一面には天ぷら油が塗られ、ライター用オイルが床にまかれていた。客室にいるはずの2人の姿はなかった。

 「気づいたら目の前に白煙が上がっていた」

 出火の経緯について、仁野被告はこう説明しているとされる。この言葉を信用すれば、仁野被告以外の人物が火をつけようとした…ということになるが、捜査はまだ進んでおらず、真相は分かっていない。

 放火未遂事件には、千葉県警の“失態”のオマケまでついた。浦安署の捜査員2人が、川本さんが殺害された翌日、関西屈指の名泉として知られる有馬温泉(神戸市北区)の外湯「金の湯」で入浴中、ロッカー荒らしの被害に遭い、捜査資料一式を紛失してしまったのだ。

 浦安署幹部は取材に対して「徹夜続きで入浴する暇がなく、シャワーを浴びに近くの有馬温泉に行った。決して遊んでいたのではない」と強調した。しかし、ある関係者は「温泉に入るのでなく、シャワーを浴びるためだけに、わざわざ山を越えて有馬温泉に行ったなんて地元では通用しない」と苦笑いを隠さなかった。

 ■「嘱託」乏しい証拠

 殺害事件直前の2人は川本さんの自宅に戻ったり、出たりという不審な行動を続けた。まるで、川本さんの家族と接触を避けるようにも見えたとされる。

 1月2日未明に放火未遂事件が起きた後、2人はホテルを抜け出すと、その日のうちに関西に戻ってきた。3日午前には、自宅に戻った川本さんを妹(24)が目撃。4日には仁野被告のものとみられる靴が玄関にあるのを妹が見かけたが、直接顔を合わせたわけでもなかった。3~4日とも夜は自宅を出て、2人で神戸市内のホテルに宿泊していたという。

 さらに、5日午前5時ごろ、川本さんはいったん帰宅したが、午前6時40分ごろに再び外出。母親と妹が出勤して自宅に誰もいなくなった後、2人で自宅に戻ったとみられる。

 「死にたい。殺して」

 捜査関係者によると、5日午後4時ごろ、川本さんは自室で、仁野被告にそう迫った。川本さんは直前に宿泊していたホテルから、凶器となる浴衣の帯2本を持ち出していた。仁野被告は「死にたい」という川本さんを慰め続けてきたが、この時点までに心境に何らかの変化があったとみられる。1本の帯を手に取った仁野被告は、川本さんが息を引き取るまで首を強く締めつけた。

 東灘署は6日早朝、殺人容疑で仁野被告を逮捕。仁野被告の「『殺して』と頼まれた」との供述をもとに嘱託殺人容疑での立件を視野に捜査を続けた。しかし川本さんの母親や妹、友人らから事情を聴いても自殺願望をうかがわせる話は出なかったという。

 客観的な物証として、死を連想させるような川本さんのメモが見つかっているが、捜査関係者は「死には関連するが、決して自殺願望を表現していない」と断言。「嘱託殺人」を立証できるのは仁野被告の供述以外にないとして、東灘署は嘱託殺人容疑での追送検を見送っていた。

 殺人罪の法定刑は、死刑または無期、もしくは5年以上の懲役。一方、嘱託殺人罪は、6月以上7年以下の懲役または禁錮で、殺人罪よりも軽い。結局、仁野被告の供述内容をほぼ真実と認めた神戸地検は1月26日、殺人罪を選ばず、嘱託殺人罪での起訴に踏み切った。

 仁野被告をめぐっては殺人事件によく見受けられる「残忍さ」を示すエピソードは出てこなかった。近所の住民は「(仁野被告は)優しい子で、カブトムシを捕まえて息子にくれたこともあった。川本さんとも仲良く歩いていた」と証言する。

 事件は、仁野被告の「優しさ」が招いた悲劇だったのだろうか。

最終更新:2月11日(土)17時56分


引用元:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120211-00000513-san-soci

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