<あんぽ柿>原発事故で生産自粛 農家はため息 福島 (毎日新聞)
2011.10.15 |Category …社会
半なまの実をかじると、濃厚な甘みがジュワッと広がる。そんな「あんぽ柿」が今冬、手に入りにくくなる。この干し柿の製法の発祥地で主産地でもある福島県伊
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ワケあり品でも買う人はいくらでもいるでしょ。
管理できない状況での蓄積はまずいが、数値について完全にオープンにできていればよいわけで。
以下、全文。
毎日新聞 10月15日(土)11時50分配信
半なまの実をかじると、濃厚な甘みがジュワッと広がる。そんな「あんぽ柿」が今冬、手に入りにくくなる。この干し柿の製法の発祥地で主産地でもある福島県伊達市と伊達郡2町(桑折<こおり>町、国見町)に対し、県が14日、乾燥果実の生産自粛を要請すると発表した。福島第1原発事故による放射性物質の濃度が、乾燥に伴い増加することが確認されたためだ。東北の長い冬。伊達地方は出稼ぎ代わりの干し柿作りに励んできた。「今年の冬は何すっぺ……」。多くの農家がため息をついている。【野呂賢治】
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熟しかかった実を付けた木が道路脇まで広がる伊達市北部の五十沢(いさざわ)地区。渋柿を硫黄でいぶし、軟らかいままで出荷する「あんぽ柿」の製法は、大正時代にこの地の農家らが開発した。15日朝、同地区の農家、引地稔さん(57)はポツリと言った。「やっぱり、放射線高かったか」
原発事故後、伊達市は、放射線量が局所的に高いホットスポットにあたるとして、南部の一部が特定避難勧奨地点になった。実が色付くにつれ、農家や生産者団体にも危機感が広がっていた。「干すと線量はどうなるんだ」と。
08年の農水省統計によると、福島県の干し柿出荷量は1780トンで、長野県に次いで2位。全国シェアは26%を占める。多くがあんぽ柿で、伊達市の「JA伊達みらい」だけでも昨年度、852戸が1215トン出荷した。
県も主要生産物として注視しており、今回、出荷期を前にあんぽ柿を試作した。もいだ直後は、国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された実は無かった。だが、乾燥後の数値は悪い予想通りになった。最高で713・7ベクレル。乾燥前より約2~11倍も値は高まり、21検体中3検体が規制値を超えた。
「天干(あまぼ)し柿」が語源との説もある「あんぽ柿」。県は、伊達地区の生産額は30億円近くに達すると見る。それでも引地さんら生産者は、何度も話し合い「ブランドを守るためには、規制値超えは1点も出せない」として自粛やむなしの方向は徐々に固まっていた。
今年の柿は出来が良いという。「はしごに乗って一個一個手で取って、皮むきから何から全部手作業なんだ」。五十沢で生まれ育った引地さんの母雪江さん(79)は、鈴なりになった柿の木を見上げて語った。例年10月末から年末ごろまで続く摘果と乾燥だけではない、冬から春にかけての剪定(せんてい)など、冬場は柿の世話が生活の中心だった。
柿の実は、放置したままだと病害虫の繁殖などで樹勢を弱める恐れがある。埋め立てなど処分先の問題が起きるが、県は、今年ももぎ取るよう農家に要請する。雪江さんにとって、こんな味気ない「収穫」は初めてだ。
「放射線は目に見えないし、柿の色つやも変わらん。見た目はいい出来なのにな。『あんぽ』にしたらだめだと言われてんのに、収穫しろと言われてもな……疲れるべな」
最終更新:10月15日(土)16時17分
引用元:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111015-00000028-mai-soci