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「山コン」一転、凍死の危機に 「山ガール」ブームに死角(産経新聞)


 静岡県川根本町の沢口山で10月31日、会社員と大学院生の20代の男女5人が登山中に遭難し、2日後に救助された。



▽つづきはこちら

山で遭難する山ガールとは奇妙な響きだこって。

まあ専門家だって遭難するときは遭難する、などとまじめな反論なんてせずとも、「山ガール」のネーミングそのものが単なる思い付きだろうから、考えるだけ無駄なのだが。

それにしても、チャラチャラした遊びのつもりで命の危機に瀕してしまったら、異性と仲良くなるどころじゃないよなあ。

顔を突き合わせながら、すっごい険悪な雰囲気になっていたのではなかろうか。「なんでこんなことになったんだ……」とか思いにふけりながら。

案外、つり橋効果的なもので、うまく行ったりするのだろうか。


以下、全文。


2010年11月07日21時28分 / 提供:産経新聞

 静岡県川根本町の沢口山で10月31日、会社員と大学院生の20代の男女5人が登山中に遭難し、2日後に救助された。5人は「山コン」と呼ばれる山登りを通じて男女が親交を深めるコンパ活動の最中に遭難したとみられる。こうした近年のブームを背景に不十分な知識や準備不足が原因で楽しい時間が一転、命を落としかねない惨事への不安が募っている。(玉嵜栄次、飯田耕司、橋本昌宗)

■初心者コースで遭難

 「沢口山で遭難なんて聞いたことがない」。地元の町役場職員の1人は驚きを隠せずこう口にした。

 沢口山は標高1425メートル。秋には紅葉見物に多くの観光客でにぎわい、小学生の遠足コースにも選ばれる初心者向けの山だ。

 10月31日午前9時半、5人は山へと足を踏み入れた。会社員の女性2人と大学院生の男女3人。いずれも20代で、薄手のウインドブレーカーやトレーナーといった服装は、雨の降る悪天候の登山にしては頼りない防寒具だった。

 「行きとあるものが違う」。登り始めてから約4時間半がたち、山頂付近に到達した5人はこんな直感に襲われた。

 悪天候で生じた濃い霧に視界を奪われ、方向感覚を失った。登山必需品の地図やコンパスも持っていなかった。

 「沢に降りていけば、町か集落に出られる」。こうした場合には山頂を目指すのが鉄則だが、こう考えた5人は下山を始め、登山道から約2キロ離れた急な斜面周辺で立ち往生する事態に陥った。バランスを崩せば、滑落して命を落としかねない状態だった。

 「互いの顔がまったくみえず不安だった。寝ると死んでしまいそうだった」

 迫り来る寒さの中、5人は声をかけ合って体を揺すり合いながら「3秒寝て2秒起き」(大学院生の男性)ながら救助を待った。非常食は持たず、わずかに手元にあった菓子を食べて過ごした。

 ヘリ2機と20人余りの救助隊員を動員した救助作業の結果、5人は2日後にようやく救助。すり傷などを負ったものの、大きなけがもなく無事に生還したことは奇跡的だった。

 救助関係者も「若かったから助かったようなものだ。悪天候だったならば、登山を取りやめる勇気もほしかった」と戒めの言葉を口にする。

■凍死と隣り合わせ

 「寒かった」「寝ると死んでしまいそう」。遭難した5人が救助を待つ間を振り返る際、口にするのはこうした言葉だった。

 当時の沢口山の気温は8度ほど。風が吹けば体感温度はさらに下がる。こうした状態では、寒さや雨で体の熱が奪われていく低体温症で、凍死することも珍しくない。

 たとえば、平成21年7月に北海道のトムラウシ山での遭難事故では、低体温症が原因で8人が凍死した。

 事故調査特別委員会による報告書によると、当時の山中の気温は約6度。だが、風速15メートルで体感温度はさらに低いマイナス10度にまで低下していた。

 「条件さえ重なれば、遭難者はどんな山でも低体温症の危険と隣り合わせだ」。高地医学に詳しい信州大学山岳科学総合研究所の能勢博教授はこう話し、予防のために次の点を指摘する。

 「熱の発散を防ぐため、薄着を避け、雨にぬれるなど熱を奪われる状況を回避すること。熱の元になる非常食などを必ず携帯することも重要だ」

 県警救助隊員も「天候悪いときは登らないことが肝心。低い山だと思っても、山は山だ。秋は特に天候が急変する」と危険性を呼びかける。

■ブームに潜む危険性

 「ハイキングに行こうという軽い気持ちだった。親(しん)睦(ぼく)を深めようと思った」

 救助後の会見で、登山の理由をこう話した5人は、高校の同級生や大学の仲間、会社の同僚といった関係で集まり、今回が初対面のメンバーもいた。

 5人も「山コン」ブームにあやかったのか、「メンバーは1人が富士山に登ったことがある以外は、全員が登山初心者」(県警)で、インターネットで「初心者向け、往復4~5時間」と紹介されていた情報のみで沢口山に登ることを決めていた。

 山コン経験者によると、「山という非日常的な場所で、男女が手を取り合って助け合うことで意外な一面をアピールするにはもってこいだ」という。

 近年では「山ガール」と呼ばれる登山着をおしゃれに着こなす若い女性の数もじわじわ増えている。

 アウトドア・ブランド「ノースフェイス」を展開するアパレル大手「ゴールドウィン」(東京)によると、パーカーやシャツといった登山グッズの売り上げは、毎年前年度比10%以上の伸びが続いている。特に、売り上げの20~35%を女性客が購入している。

 「デザイン性も高く、山登りでも街着でも兼用できる商品が増えている」(同社)のが特徴で、最近では、山ガールブームにあやかり、山登りの雰囲気をあしらった「山スカート」も注目されている。

 だが、登山用品関係者は「一部のメーカーのものは登山に必要な撥水機能などを備えていない商品も多い」と指摘する。

 「山コン」や「山ガール」のブームはしばらく続きそうだが、登山ファッションには、「登山に耐えられるのかどうか見極めが必要」(登山用品関係者)で、ブームに流されない目的意識が求められている。


引用元:
http://news.livedoor.com/article/detail/5122932/

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